太陽と月と魔術と占星術と・その2

　占星術において、月は偉大なる母の象徴です。月は夜と海と出産のプロセスを司り、心の面では人間性のより深く、より私的で、より感情的な面のシンボルです。
　太陽が陽（男性的、外向的、明白で能動的）であるとするならば、月は陰（女性的、内向的、繊細で受動的）だと言えるでしょう。実際、太古の昔から、ほとんどすべての人種および文化において、太陽は男性的な力、月は女性的なエネルギーを表すとされてきました。おそらく、月が一定のパターンで満ち欠けし、誕生・成熟・老化・再生というプロセスを映し出しているかのようであるのに対し、太陽は見た目が常に一定であることが理由の一つでしょう。また、月の毎月の満ち欠けの周期と、女性の月経周期との間に関係があるように思われる点も理由の一つだと考えられます。

　私たちの生きる現代社会は、非常に太陽的です。年月をかけてフェミニズム運動が進展しているにもかかわらず、いまだに男性的エネルギーが支配する社会に私たちは生きています。「月星座」よりも「太陽星座」が人気なのもそのせいかもしれません。
　太陽は「単純さ」の象徴であり、また、「物質的成長と自己利益」を司っています。これはまさに現代社会における典型的な「理想像」ではありませんか？　多くの人たちがうわべだけの一般的な情報や単純化された“科学的”な（と思われる）通説を鵜呑みにすることと関係がないと言い切れるでしょうか？

　一方、月は思いやり、共感、理解といった原理を象徴します。私たちの多くは、それらが人間の動機形成において、通常目立たず抑えられた役割に甘んじていることを知っています。

　将来魔術師を目指す者、あるいは今いる環境がもたらす世界の限界に抗いたいと願うすべての人にとって、人は誰しも二面性を持っているという事実を認識するのは極めて重要なポイントです。すべてのマッチョな男たちの内面には、外に出たがっている柔らかで詩的で繊細な人格が潜んでいます。すべての優美な女性たちの内面には、自分自身を表現する機会を待ち望む、強く有能で野心的な人物が存在しています。
　もちろん、多くの女性が少なくとも表面的には、自分の月的側面をより容易に受け入れる傾向を持っており、また、多くの男性が太陽的エネルギーに親和性を感じやすいのも確かです。言い換えれば、女性はしばしば自分の「月星座」とのつながりが強く、男性は「太陽星座」との結びつきをより強固にすることが多いでしょう。

　人は一面的な性格を持ち、型紙のような仮面を付けている存在ではありません。本当は、異なる（ときに相反する）傾向の、複雑で繊細な混合体であるという考えを受け入れられるのであれば、あなたはすでに本物の占星術の世界に足を踏み入れる準備ができています。
　ようこそ、自己探求という魅力的な旅へ！