金星星座がうお座（魚座）だということ・その1～自然とクリエイティビティ～

　科学について私たちが知っていること、理解していることが増えたとはいえ、洞窟に住んでいた祖先と同じく、まだわかっていないこともたくさんあります。たとえば、なぜ私たちは人生の3分の1近くを眠り、意識を失い、何も考えられないまま過ごす必要があるのか――この問いの答えは、いまだ完全には示されていません。また、人類は精巧な地図を作りあげることに成功したものの、地球の多くを占める水面の下に何があるのかよく知りません。

　うお座にある金星は、自然のあらゆる側面のうち、もっとも謎に包まれた部分へとあなたを誘います。
　なぜ鮭は産卵のためにわざわざ川を遡上する？　自分の人生を不当に困難にするような場所や食物の採集方法を選ぶ生き物がいるのはどうして？　人間たちが浅はかなまでに“ありそうもないところ”に幸福を求める理由は？　一瞬の気晴らしにしかならないようなことに満足を見出そうとする人がいるのはなぜ？　気取った哲学、空虚な夢、人工的な願望に信頼を置く人がいる理由とは？　木よりプラスチック、草よりコンクリート、清らかな水よりコカコーラを好む人は何を考えている？
　私たち人間に息づく本能的で原始的な衝動のありかとは？　過度に消毒され、公式化された、社会的タブーと市場原理に満ちたこの世界のどこに、自然を謳歌（おうか）し、自発性を発揮し、つま先から頭のてっぺんまで笑いに満ち、魂の奥底から涙し、全身全霊で愛する機会があるというのだろう……？

　誰かがこれらの答えを知っているとするなら、それはあなた自身です。
　あなたは世界にすでにあるすべての愛よりも多くの愛に包まれる人であり、あらゆるものに潜む大いなる秘密を解き明かすことを使命として生まれた人です。若さの泉、幸福のため池、愛と人生への感謝で満ち満ちた場所は、何か理想的な方針やプロセス、あり方、人間関係のなかで見つかるものではありません。それはあなたの奥深くにあります！　求め、手を伸ばしましょう。これ以上の幸福はありません。

　うお座に金星を持っている人は、絶大な音楽的才能を持っています。ただ、それを自覚しているとは限りません。自覚しているかいないか真っ二つに分かれるほどです。
　前者の人たちについては特に説明も必要ないでしょうから、後者の話をすることにしましょう。あなたの耳がどんな状態であろうと、魂には膨大な量のリズムやハーモニー、詩が宿っています。ベートーベンを思い出してください。耳が聞こえなくても彼から音楽があふれ出てくるのを止めることはできませんでしたよね？

　音楽とは、技術的な正確さだけを競うものではありません。もしそうなら、数学の一分野になってしまいます（バッハを思い出して！）。音楽とは、感覚であり、感情であり、芸術性であり、自発性です。音楽的才能とは、誰かの人生をパッと染めあげてしまうような、魅力的かつ絶妙なパターンを創り出す能力のことです。
　チューニングの悪いギターよりもきめ細かく調整されたエンジンに、今イチ垢抜けないアレンジよりもよく選ばれた衣装に、下手なオーケストラよりもよく練られた店内放送にこそ、多くのそして素晴らしい音楽があります。

　あなたは楽器を触ったことがないのかもしれませんし、そもそも興味もないのかもしれません。けれども、人生におけるもっとも微妙な流れをすかさず読み取り、行き当たりばったりのアイデアを美しく整理整頓された計画に作り変え、何をするにしても素材の良さを最大限生かしてみせることによって、あなたは常に宇宙の静かなシンフォニーに触れています。
　宇宙からの調べに耳を傾け続けるかぎり、あなたの人生から美と調和と創造性が姿を消すことはないでしょう。